15 降雨のPH値から見える環境汚染の実態とその原因物質の特定



「そうだ。そばの食べ比べ。しようよ」と手を叩きながら彼女が提案したので、私は「いいね」と答えた。

「いいですよね」

 私はそう聞いたが、ユード・ダ・デルセルス博士は沈黙を守った。しかし彼の青い瞳は、自身の口に運ばれていくボンゴリーそばと、彼女が冷蔵庫から取り出したユードそばと、そしてマルスとの間を、モンゴル――古きは元と呼ばれたその帝国においてまだ若王子であったチンギス・ハーンがこよなく愛した白銀のたてがみをなびかせた疾風の駿馬のように駆け回っていた。目は口ほどに物を言うのだ。焦っているのが丸分かりである。

 彼女はユードそばをさっと茹で上げると、ボンゴリーそばの横に置いた。

「さぁマルス。どっちが食べたいかな」

 彼女が差し出すお盆に乗せられた2つの皿に、マルスの目と、鼻と、口と、手は、10数秒ほど固まった後、ついに

「せいっ」

 ユード博士がお盆を両手で思い切りはじき上げた。
そのとき、そばつゆ色の雲が世界を覆った。

 そして、そばつゆ色の雨が、主に彼女の頭に向かって降り注いだ。









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